命って何かね?ー搾りたて牛乳を飲みながら「酪農」を知ろう@ドリ大授業ー

朝食の1杯。給食の1杯。それとも風呂上がりの1杯?
バター、ヨーグルト、アイスクリーム、お菓子やパン。
私たちの毎日の生活の中に、欠かせない食品“牛乳”。


しかしながら、私たちは牛乳がどうやって生産されているのかについて
あまりよく知りません。


そこで今年のドリ農部の活動第1弾は、
【搾りたて牛乳を飲みながら「酪農」を知ろう】をテーマに、
ドリ大授業として広く参加者を募集。
江別市にある関ファームさんにお邪魔して、
牛乳ができるまでや産業・仕事としての酪農について教えていただきました。


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今回の先生は、酪農家の川口谷 仁さん。そして奥様にもご教授頂きます。

もともとはサラリーマンだった川口谷さんは、
奥様の実家である関ファームに就農されて15年になるそうです。
一消費者だった経験を生かして、多くの人に酪農を分かりやすく学ぶことができる
教育ファーム活動を積極的に行っています。


さて、今回の主役である乳牛のプロフィールを簡単にご紹介しましょう。

品種:ホルスタイン
出生時体重:40kg
成牛時体重:600〜700kg
平均体温:38.5℃
1日の乳量:30kg
1年の乳量:9,000kg
1日の食事量:15kgの乾草と2kgの濃厚資料
1日の飲水量:60〜100L
1日のふんの量:30〜50kg
1日の尿の量:15〜25L
1日の睡眠時間:3時間
寿命:15〜20歳(実際は2〜6歳くらいで廃用になる)
(※この数字は平均的な乳牛のデータです。個体差、各牧場の飼養方法によって異なります)


牛の飼い方には様々な方法がありますが、
関ファームさんではつなぎ飼いという方式で、
1頭1頭を牛床(ベット)につないで管理しています。


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まず最初に、生まれてから4カ月齢までの子牛と母牛が過ごす「本牛舎」を見学。
ホルスタインの子牛とジャージーの子牛にミルクを与える哺乳作業を体験しました。





専用の哺乳瓶でミルクを与えてみると、
ぐいぐい、ごっくごく。引きの強さに驚きます。
子牛は約40kgで生まれ、1日800gくらいずつ体重が増えていくそうです。
そして2カ月後には、80kgにまで成長!牛乳の力、恐るべし!!



ミルクを搾ることができるのは、もちろんメスだけ。
オスが生まれた場合は1週間後に肉用として販売します。
実はこのジャージーの子牛はオスなので、いずれ自家用のお肉としての役割を果たします。


たっぷりとミルクを飲ませた後に
先生から「子牛の口に手を差し出してみてください」の一言。

恐る恐る手を持って行くと、これまた勢い良く吸い付きます。
…あれ。なんで痛くないんだろう??


ご存知でしたか?牛には前歯がないことを。大人になっても生えません。
舌で巻き取るように草を捉え、奥歯ですりつぶして食べます。
だから、牛の舌(牛タン)は長いのです。


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次に5カ月齢〜分娩を行うまでの間に過ごす「育成舎」へ。給餌作業を体験しました。





牛の食べる餌には乾草、デントコーン(飼料用トウモロコシ)、配合飼料などがあります。

牧草地に行くと白や黒のロール状の物体がゴロゴロ転がっていますが、あれは牛の餌。
水分が多い牧草を腐らないように密閉し保管する、サイレージという“漬け物状態”の餌です。



川口谷さんが持っているのは、配合飼料(濃厚飼料)。
牧草だけでは不足する栄養を補ってあげるための餌で、
トウモロコシ・大麦・小麦・大豆などが入っています。
現在、濃厚飼料は輸入に頼らざるを得ない状況です。


北海道では牧草は比較的作付できる面積がありますが、
府県ではそれがなかなか難しく、輸入が多い傾向にあります。
輸送費などのコスト、気候条件によって経営が大きく左右される厳しい現実が見えてきました。



ところで、牛はいつミルクを搾れるようになるのでしょうか。
人間と同様に、子供を生まなければミルクを搾ることはできません。
牛の生態の基本は、1年1産。1頭の分娩。
毎年、効率よくミルクを搾るためには、
人工授精という方法で子供を受胎させる必要があります。
生まれて14カ月で人工授精を行い、28カ月で分娩(初産)を迎えます。
そして、分娩した後はミルクを搾るために本牛舎に移動します。


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ということで、本牛舎に戻り、母牛にご協力いただいて搾乳作業を体験。


つなぎ牛舎の場合、搾乳機器が自動でベットまでやってきて
搾ったミルクはパイプを通ってバルククーラー(牛乳を保存するタンク)に集まります。

↑これが搾乳の機械。
昔は20kgくらいある機械を背負って、1頭1頭搾っていたというから大変!
足腰を痛めることが多かったそうです。


今回は手搾りをさせてもらいます。
乳頭をきれいに拭いて、ミルクに異常がないかを調べて…

牛に声をかけ、いざ搾乳!



……あ、温かい。ホットミルク。


体験に来る子供たちは、牛乳は冷たいものだというイメージが大きく
この温かさにとても驚くようです。確かに、納得。
最後に消毒をして、母牛にお礼を。お疲れさまでした。


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作業が終わったところで、当日の朝に搾ったばかりのミルクを頂きました。

あ、あまーい!
ミ○キーのような優しい風味!!


そして、先生への質問タイムでは
普段気になっていたことをざっくばらんに聞いてみました。


牛はペットではない?
牧場の子供たちは、小さい頃から廃用になる乳牛の出荷を見ると思いますが
かわいそうという気持ちになったりしないのでしょうか?


「かわいそうという気持ちはもちろんあっていい。
でも、例えば牛1頭のお肉を100人の人が買ってくれたら、
100人の人たちが幸せになると考えたい。
その分、笑顔の食卓を囲める人がいるということ。
人間が100人を幸せにするのは難しいかもしれないけれど、
それを1頭の牛ができるって凄いよね。と子供たちには伝えています」と奥様。


川口谷さんも
「牛は肉体を酷使して、私たちに生乳を提供してくれています。
しかし経済動物ですから常に経営コストを考えて飼養する必要があり、
やはり搾れなくなれば淘汰せざるを得ません。
ですが命をもらうという以上、牛たちが牛舎にいる間の環境をどう快適に整えるかは、
人間がやらなければならないことだと思います」と家畜に対する思いを語ってくれました。




そのほかにも「牛乳の味の決め手」は、牛の食べた餌で変わってきます。
放牧だと牧草の青臭さを感じたり、トウモロコシが多ければ
コーンの香りや甘みが出て来るのだそう。


また、「どこで加工するか」も牛乳の違いを知る上では重要です。
北海道ではホクレンが一括集乳した後、乳業メーカーに販売するという流れがほとんどですが、
関ファームさんではサツラクという組織で集乳・販売を行っています。
乳業メーカーはどんな原料でも美味しい製品が作れるように、
製造方法を工夫しているのが特徴。
一方でサツラクでは、加工よりも“良い原料づくり”に重きを置き、
毎日厳しい乳質のチェックを受けて集乳が行われていること。
そのため、加入酪農家の努力は生半可ではないことを知りました。


また、沢山の乳量を搾るために改良した牛は、
放牧だと栄養が不足することがあるため緻密な飼養管理が求められます。
牛が健康で、安定した乳質で搾るためには舎飼いという方法も必要。
つまり「放牧と舎飼い」には、それぞれメリット・デメリットがあるということ。


「バター不足が起こる理由」としては、
基本的には飲用のためにミルクを搾るので、バターは副産物という位置づけであること。
さらに、絶対量(酪農家戸数や乳牛の頭数)が減っている。
牛の生態上、ミルクを搾れるようになるまで2年かかるため
簡単に乳量を増やすことができないことなどを教えていただきました。










最初は「子牛が可愛い!」とはしゃいでいた参加者も、
川口谷さんのお話を聞くうちに、どんどん真剣な表情に。
苦労もあるけれども、「安全・安心な牛乳を提供するのが使命」
と言い切る川口谷さんご夫婦に感動しました。


関ファームでは今年、5戸の酪農家と共同で新たな牧場を設立しました。
その牧場は今回訪れた牧場よりもたくさんの牛がいて、飼養方法が大きく異なります。
もしかすると、来年は新牧場にお邪魔できるかもしれません。お楽しみに!




最後にクイズです。
牛乳パックには、牛乳であることを証明する特徴があります。
それはなんでしょうか??





答えは、パック上部にある凹み「切欠き」がついているかどうか。
目の不自由な人のために付けられるようになりました。
これがついていないものは、
加工乳(低脂肪乳、成分調整乳といった商品名で売られているもの)や
乳飲料(栄養強化や嗜好性向上のため牛乳由来以外の成分も使用したもの)になります。


皆さんも、さっそく店頭でチェックしてみてくださいね!

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