「つくろう学科」は、まちのクリエイターが先生となり、生活の中に”創る”きっかけをつくります。

つくろう学科第2回札幌現代アートコレクター宅訪問ツアー

今回の授業レポートは、ケンメイがお送りいたします。

つくろう学科第2回目の授業は、「札幌現代アートコレクター宅訪問ツアー」。

授業コーディネーターは、前回の旭川ツアー同様ドゥヴィーニュ仁央さん。

またしても、ずいぶん大胆な授業を企画してしまいましたねぇ。

お宅訪問を授業にしてしまうとは恐れ入りました。

授業当日。

一行は大通西5丁目のビルB2Fにあるギャラリー「CAI02」に集合。

簡単な自己紹介の後、早速出発。

はじめに、「ギャラリー門馬」オーナー、大井恵子さんのお宅を訪問。

落ち葉舞う大通り公園を横切り、足早にマンションの中へ。

そこはモダンな住空間で、あまり生活が感じられない。

美術館やギャラリーとも違う、不思議な感覚。

大井さん曰く、作品は気に入ったら欲しくなってしまうのは当たり前。

迷ったら買わない。

洋服を選ぶように、常に見て歩くことが大切、と教えて頂きました。

こうみると、マンションの一室ということを忘れてしまいます。

次は、「アウラ・アソシエーツ都市建築設計」所長、山本謙一さんのお宅を訪問。

地下鉄で移動し、徒歩数分。閑静な住宅街に佇むコンクリートの邸宅。

もちろん、設計はご自身でされたそうです。

背の高い玄関ドアを開けると広がるのは、高さ4mの吹抜け空間。

20帖程ある空間には端聡さんの作品がドーンドーンドーンと並ぶ。

作品を飾る位置から、それを照らすライトに至るまでを全て端さんが手掛けたそう。

山本さんは、端さんご本人も認める最大の端コレクター。

ぱっと見、なんだこりゃ!?が引きがねなのだったのだそう。

現代アートについて建築家である山本さんは、

クリエイターとして創造性を刺激されるのだ、と話してくださいました。

アートが家にあることで、日常から抜け出す瞬間がある。

非日常とは旅を連想させ、そして作品と対話することにつながる。

コンクリート打ち放しの壁に飾られた作品。

感性・感覚で配置された作品たちは、「無造作に」かつ「計算されて」そこにあるようでした。

最後に向ったのは、「ト・オン・カフェ」オーナー、中村一典さんのお宅。

辺りが暗くなり始めた頃、徒歩で数十分のところに現れた、とあるマンション。

リビングに入るなり、いきなり目に飛び込んできたのは・・・

高幹雄さんが描いたダイニングテーブルの上に、森迫暁夫さんの作品が。

そして壁にも高さんの作品。

中村さんのお宅には、高さんの作品が溢れていました。

そもそも、高さんとは遊び仲間をきっかけのお付き合いだそう。

中村さんは、作家の人柄・センスを好きになってから作品を購入することが多いそうです。

だから、自然と札幌で活動している作家の作品が多い様子。

他の人と違う価値観を持つ事を楽しめる自分でありたい。

そう話す中村さんは、生活スタイルに積極的にアートを取り入れる楽しさを教えてくださいました。

作家と触れ合う機会があるのなら、その作品・作家ともっと知り合わないともったいないのだ。

アートコレクター宅を訪問するという今回の授業を通じて感じたこと。

それは、そこにアートがあることで生活もアートになるということ。

そして、気に入った作品を独り占めできるという贅沢。

美術館やギャラリーとは違って、好きな距離で好きな時間眺めていられる。

作家が生みの親なら、コレクターは育ての親といった感じかな。

作家から受け継いだ作品と、作者よりも長く生活を共にする訳だから。

最後になりましたが、今回の講師であり自邸を公開してくださった大井さま、山本さま、中村さま、

アーティストとしてディレクターとして様々な疑問にお答えいただいた端さま、

貴重な体験をありがとうございました。

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旭川ツアー午後の部、~匠工芸からクラフト&デザイン タンノ

さて、織田先生のご自宅で、

「本物」に囲まれる豊かさを目の当たりにした私たちが(素敵なランチタイムの後)

次に向かったのはオリジナルデザインの家具たちが高い評価を得ている「匠工芸」

この日の授業、二人目の先生は匠工芸の中井啓二郎常務です。

中井先生は学生時代から各種のコンテストで賞を獲得されている

インテリアデザインのスペシャリスト。

特に椅子のデザインでかなりの数を商品として世に送り出しています。

まずは先生がこれまでデザインされてきた椅子の数々を拝見。
デザイン、素材、構造等、本当に多種多様な椅子ですが、

先生のお話を伺うにつれて、

そこに込められた共通の価値に気付かされます。


それは、使用者がいかに心地良く、便利に使えるか。
たとえば人間の骨格に関する知識、

たとえば人間が食事の時、お茶を飲むとき、デスクで読み書きするとき。
そういった深い洞察が中井先生の家具設計に散りばめられていました。

続いて一行は階下の工場スペースへ。


残念ながらこの日は可動していなかった工場ですが、

その行き届いた清掃・整理具合に一同驚き。

事故災害の防止はもちろん、

安定した品質の製品を届けるためにも、

整理整頓は第一に重視しなくてはならない項目なんだとか。


ともすれば設計者の独り善がり的なデザインが溢れる中、

中井先生、そして匠工芸が生み出す「使用者の目線にたって」デザイン、

製作された家具や小物たちは、

間違いなく織田先生から学んだ「本物」でした。

そしてこの日最後の先生は、

中井先生の盟友でもあるクラフト&デザイン タンノの丹野則雄氏。


ご子息であり弟子でもあるWork Studio 雅の丹野雅景氏とともに、

独創的でハイクオリティーな木工作品を製作しています。

共同の工房を訪れて目を惹いたのは、

無骨な工作機械とその間に置かれたデスク上で柔らかな存在感を持った小さな木工作品の数々。

試作品や製品になる前の部品たちはどれも繊細でぬくもりのあるな木の表情と質感を保ったまま、

使い勝手の良い日用品へと組み上げられていきます。
出来上がった作品を手に取ると、

木そのものの弾力や小さなバネ、

細やかな木組みを使った細工に作り手である丹野先生の技量が

素人である私たちにも伝わってきます。

「ノミや彫刻刀で削るのと違って機械さえあれば誰にだって出来るんですよ」

なんて謙遜とも冗談とも取れる言葉を発する先生ですが、

そんなはずがないのは作られたモノたちを見て触れれば理解できます。


木工に、美しさ、使い勝手の良さ、質感の良さなど、

自身のこだわりをとことん詰め込んで製品化する、

そして製品化したあともその改良に余念が無い姿にやはり「本物」を生み出す職人の姿をかんじました。

駆け足で、またギュウギュウの内容で過ごした日帰り旭川ツアー。

学生時代の修学旅行とは違って、本当にたくさんの学びを得ることができた貴重な体験でした。

そして帰りのバス、皆さんがどのように過ごしていたのかは、

すっかり眠りこけてしまった私には知るすべもありません。

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つくろう学科第1回授業は旭川インテリアツアー~出発から織田先生宅へ~

記念すべきつくろう学科第1回目の授業レポートは、学科のサポート企業である豊栄建設で担当を努めております、私、ツタがお送りいたします。

さてさて、秋も深まりつつある10月の第2土曜日。
AM7時45分という、休日としてはとっても早い時間に
さっぽろテレビ塔に集合した皆様は眠気もなんのその、
ものすごく久しぶり(?)の修学旅行を前にした学生のようにイキイキとしています。

出発したバス内で簡単な自己紹介をいたしましたが皆さんやっぱり家具やインテリア、

ひいては自分のライフスタイルといったことに真剣に向き合ってる方ばかり。
なかなか濃い一日になりそうな予感を胸に一行は一路、
道央道を旭川へ。

まず最初に向かったのは椅子の研究、蒐集家としても著名な旭川東海大学教授の織田憲嗣先生のご自宅へ。

「ブルータス」等、全国誌でも紹介されたこともあり、

ハウスメーカーの研究員まで調査に訪問するというご自宅はまさに

「豊かな暮らし」を具現化したような空間。

ご自身でマスタープランを設計されたという空間に、

コレクションの品々がたくさん、かつ整然と美しくならんでいます。

不思議なのはそのモノ達の顔ぶれ。

北欧のインテリアプロダクツを中心としながらも中国のアンティーク、

アフリカのプリミティブな置物、東南アジアの籠、エジプトのファブリック、

そして博多人形までもがなんの違和感もなく、

調和して空間に溶け込みつつ独特の存在感を放っています。

ともすればちぐはぐになってしまいそうな品々が不思議な均衡を保っている

一番の理由は、織田先生が自らの手で、自らの美的基準で選んだ「本物」だけがそこにあるからだとか。

「しっかりとデザインされたインテリアプロダクツ、プリミティブな生活用品、

熟達した職人の手による品物など、

普遍的な美しさを持ったモノだけを選び身近に置くことにより、

それぞれの品が違和感なく融け合いさらに美しさを高める」と先生はかたります。

デザイン寿命が短く、

大量に作られて大量に消費され、

そして大量に廃棄されていく、そんなこれまでのライフスタイルを見なおして、

心がしびれるような出会いをした物を大切に使い続けていく。

そんなライフスタイルにこそ本当の豊かさがあるのかもしれませんね。

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